伊豆の隠れた珍スポット「メンテくん」を推す!

伊豆は珍スポットの聖地だ。

金塊を買ったら価値が上がりすぎて展示できなくなった「土肥金山」、歴史的な由緒がない「熱海城」など、変な場所がとにかく多い。

そんな伊豆を散歩していると、突然「野生の珍スポット」に出会った。

ネットで調べても情報はゼロ。

それでありながら、有名観光スポットから徒歩3分と謎にアクセスが良い。

今回は、そんな伊豆の神秘を紹介します。

 

伊豆の散歩

ヤツに会ったのは、伊豆の珍地名「理想郷」へ行こうとしたときのことだった。

「理想郷」は、この神社のさらに奥にある。

「面白いスポットに出会えますように」と本堂にお参りして、目的地へ出発だ。

右奥の道を進んでいく。

気持ちいい竹林を進んでいくと――

なんじゃこれは!?

神社のお願いが叶う最短ギネス記録、更新しました。

 

よーく見てみよう

Unity(ゲームエンジン)のファイルを開くと、PCの動きが重くなることがある。描画する物が多いほど、ファイルの容量が増えPCの負担は増えていくものだ。

今、同じように脳内がフリーズしている。

現実世界の情報量が多すぎる。

頭の上で、はてなマークが手をつないでマイムマイムを踊りだした。

これだけでお腹いっぱいだ。

 

普通の風景を見たくなって遠くに目をやった。

右の口角だけが上がった。ひきつった笑いがでた。

どこまでも続いてやがる。

ただ、一つだけ強く伝わってきたことがある。

これを作った人の情熱だ。

オーケーわかった。

こうなったら、その熱意にどこまでも付き合ってやろうじゃないか。全力で味わってやろう。

 

ちなみにこのコレクションたち、20メートルもある。

ここからは、わかりやすいように「三つのエリア」に分けて紹介していく。

「① 駐車場付近」「② プレハブ小屋付近」「③ 民家付近」の三本立てでお送りします。

 

メンテくんは警備員(① 駐車場付近)

さて、改めて謎めいた「メンテくん」と向き合う。

「メンテくんだよ! はじめまして」

はじめまして。おじぎをした。

気圧されないように深呼吸してジト目のメンテくんを見つめ直す。すると、彼の言いたいことが伝わってきた。

右手が指す先を見てほしい。腰の札を見てほしい。

よく見ると、「立ち入り禁止」を訴えているではないか。

 

メンテくんの正体は、駐車場への侵入を防ぐ警備員だったのだ。

 

ちなみに、注意喚起はメンテくん以外にも個性的なメンツがそろっていた。

無断立ち入り、1万円いただきますよ!

天使「無断立入 本当に1万円ダヨ」

本当だよ!

センサーらしきものにはミラーボールが。

これ踏んだらどうなるんだろう……?

立ち入り禁止を訴えているのに、個性が強すぎて伝わらなくなっているこの本末転倒なところ、僕は大好きです。

 

「メンテ」の意味がわかった!(② プレハブ付近)

メンテくんの正体がわかったと先ほど書いた。

ごめんなさい。それは思い上がりでした。

というのも、メンテくんは彼一人ではなかったのだ。

たてがみが舵のメンテくんだよ!

ぬりかべメンテくんもいるよ。

水道管メンテくんだよ

では、メンテくんの「メンテ」って何だろう。

コレクションをながめて足を進めていくと、おさるさんが答えを教えてくれた。

だんだん世界観になじんできた自分がいる。

「伊豆メンテ」という会社の敷地だったのか。

さらに進んだ先には、コレクションに埋もれるようにその事務所があった。あるんだ。

入口もびっちりとブツで囲われている。

ちなみに金欠だそうです。

呼び鈴はゴングだった。格闘技以外で使われることあるんだ。

今日はお盆の休日なので、残念ながら人はいなかった。いろいろ聞きたかったのでちょっと残念。

事務所の裏ではタイムリップが楽しめます。

ブルース・リーの名言「考えるな、感じろ」を、今人生で一番かみしめている。

 

仕掛け人がわかった!(③ 民家付近)

速報です。こちらのコレクションについて新しい情報が入りました。

このコレクションたち、実は売っているらしい。

「もし欲しい物があったら販売します」

よく見るとコレクションの一部に値札がある。今までインパクトに押されて気づかなかった。

大黒天のコスプレをしたブタ、500円。

かっこいい獣は5000円。でも地味なウシは500円。

陶器のカバン、500円。

「ほしい」と「ほしくない」を絶妙に反復横跳びするラインナップがたまらない。

 

さて、駐車場と伊豆メンテの事務所を通りすぎると、コレクション地帯の終わりが見えてきた。

パン食い競争のように垂れ下がっているものの正体は――

「お土産のキーホルダー」でした。

キョロちゃんだ! 異物の中に知ってるものがあってときめいた。珍スポで吊橋効果を味わうことになるとは。

事務所を通りすぎてもまだコレクションは続いていた。

それどころか、隣の民家の生垣にも浸食が広がっている。

これ、怒られないのかな。

そう思いながら家の入口をのぞくと、自分の解釈がまちがっていたことに気づいた。

敷地内にも異空間が!

花が咲いていそうな植えこみに、置物の数々が並んでいる。この風景、見覚えしかない。

間違いない、ここに住んでいるのは伊豆メンテの人だ。

さらに見ていると、誰かわかりました。

「田畑さん宅だよ」

田畑さん、先ほどの看板に出ていた名前だ。

たしかに「伊豆メンテ(田畑)」とあった。

田畑さん、ありがとう。おかげで楽しい時間がすごせました。

 

伊豆メンテおもしろいよ、本当だよ!

すべてを見終わった。残ったのは、マイナーなのに出来のいい映画に出あえたときのようなすがすがしさだ。

時計の針は20分も進んでいた。

 

そういえば、このスポットっていつからあるんだろう。

検索すると、関連情報はまさかのゼロだった。こんな濃さなのに、誰もここ知らないの……?

では別の手段だ。グーグルストリートビューで過去の景色を見てみよう。

はへって声が出た。

もっとも古い2012年の写真に、すでにコレクションが写っているではないか。

田畑さんの家、2012年時点で今の面影がありすぎる。

 

珍スポ密集地帯の伊豆には、10年以上も前から人知れずたたずんでいるスポットがあった。

しかも、ひっきりなしにお客さんが入る遊園地から歩いてすぐの場所に、だ。

 

ぜひ、興味があれば立ち寄ってみてほしい。今まで感じたことのない感情を得られること、間違いなしだ。

世界最高齢のおばあさん、ここにいました。